幕末ピンパブ物語 呂宋編 第二十八回 『松五郎の恋』 [フィクション]
一行から一団になった鴨野達は、仙兵衛の屋敷で一晩を過ごした後、翌朝元気よく出発した。
安泰幌軍団の中でも、最強の部隊を、15人ばかり茶露が率いている。
下手をすれば、仙兵衛でさえ御し難い連中だが、不思議なことに、茶露の命令には一切逆らわず、飼い慣らした猫のように、おとなしく命令に従う奴ばかりであった。
全く持って、男に生まれて来れば良かったと思われるくらいに、統率力には優れている茶露である。
その茶露と鴨野と大橋が馬上、その他の者は徒士で従った。
良庵先生は、強行軍のことを考えて、無理をせず、後から仙兵衛と共に、山を降りることにしていた。
『はいやー』
茶露の掛け声と共に、一団は、山を駆け下りて行く。
さすがに山育ちの茶露は、道に精通していて、すいすいすいと、道なき道を切り開いていく。
途中、少し休憩に入っただけで、夕方には何と、麓の村に到着してしまった。
登山の時には、あれほど苦労したのに、何ともあっさり下山出来たのには、少し拍子抜けである。
ともあれ、赤蟻にやられて麓の宿で待っていたこう平夫婦とも合流し、宿で一泊した後、一団は、爆裸乱目がけて出発していった。
それを確認して、こっそりと先回りして早立していった者がある。
マクシー将校である。
阿鸞達の動向がくさいと感じていた彼は、一行が山から降りてくるまで、麓の村の宿で待っていた。
そうして、降りてきた彼らを見ると、怪しげな連中を、同道しているではないか?
(これは何かある・・・・)
そう感じた彼は、先行してやり過ごし、後を付けて、一団の行く先を突き止めようとしていたのだ。
茶露は、何も知らずに馬を進めて行く。
その男勝(おとこまさ)りの後ろ姿を、惚れ惚れと眺めながら、従軍する者がある。
それは何と、松五郎であった。
彼は最早、自分の役割さえ忘れるくらいに、茶露にのめり込んでいたのだ。
忍者は、恋をすると終りと言われている。
くノ一でもそうだが、一旦恋をすると、忍者としての勘が鈍り、命を落とすと言う。
松五郎にはもう、そんなことはどうでも良かった。
命令を託されていた金さんのことさえ、頭の片隅にも残っていなかった。
恋は盲目と言うが、松五郎は、身も心も捧げても良いくらいに、茶露に惚れきってしまっていた。
勿論茶露は、そのように自分に惚れてくれている男の存在など、知る由もなかったが・・・。
淡々として、馬を進めるだけの茶露であった。
松五郎は、最早萬久を見張ることなども忘れ、理由をつけては茶露に近づこうと必死である。
食事の時などは、手づから食べ物をや飲み物を運んだり、気を引こうと一生懸命だ。
そんな松五郎を、同じ忍者の菩薩は、冷ややかな目で見ていた。
彼は、松五郎が恋に落ちたことを、感づいていたのである。
(忍びの癖に、おなごになど惚れるなど言語道断!)
そう思って、心の中で、舌打ちをする菩薩である。
が、一計が浮かんだ。
萬久に化けた菩薩は、松五郎に近づいて行きこう言った。
『松五郎さん、知っていなさるかい、あの茶露さんのこと・・』
『いや、何も知らねえが、茶露さんがどうしたんだい?』
松五郎は、今まで萬久のことを疑っていたのも忘れて、茶露の話だというので聞き耳を立てた。
『いやね、彼女には婚約者がいて、今回の件が落ち着いたら、どうやら結婚するらしいぜ・・・』
『えっ・・・、そそそ、それはまことですかい?』
松五郎の顔が、青ざめている。
続く・・・
安泰幌軍団の中でも、最強の部隊を、15人ばかり茶露が率いている。
下手をすれば、仙兵衛でさえ御し難い連中だが、不思議なことに、茶露の命令には一切逆らわず、飼い慣らした猫のように、おとなしく命令に従う奴ばかりであった。
全く持って、男に生まれて来れば良かったと思われるくらいに、統率力には優れている茶露である。
その茶露と鴨野と大橋が馬上、その他の者は徒士で従った。
良庵先生は、強行軍のことを考えて、無理をせず、後から仙兵衛と共に、山を降りることにしていた。
『はいやー』
茶露の掛け声と共に、一団は、山を駆け下りて行く。
さすがに山育ちの茶露は、道に精通していて、すいすいすいと、道なき道を切り開いていく。
途中、少し休憩に入っただけで、夕方には何と、麓の村に到着してしまった。
登山の時には、あれほど苦労したのに、何ともあっさり下山出来たのには、少し拍子抜けである。
ともあれ、赤蟻にやられて麓の宿で待っていたこう平夫婦とも合流し、宿で一泊した後、一団は、爆裸乱目がけて出発していった。
それを確認して、こっそりと先回りして早立していった者がある。
マクシー将校である。
阿鸞達の動向がくさいと感じていた彼は、一行が山から降りてくるまで、麓の村の宿で待っていた。
そうして、降りてきた彼らを見ると、怪しげな連中を、同道しているではないか?
(これは何かある・・・・)
そう感じた彼は、先行してやり過ごし、後を付けて、一団の行く先を突き止めようとしていたのだ。
茶露は、何も知らずに馬を進めて行く。
その男勝(おとこまさ)りの後ろ姿を、惚れ惚れと眺めながら、従軍する者がある。
それは何と、松五郎であった。
彼は最早、自分の役割さえ忘れるくらいに、茶露にのめり込んでいたのだ。
忍者は、恋をすると終りと言われている。
くノ一でもそうだが、一旦恋をすると、忍者としての勘が鈍り、命を落とすと言う。
松五郎にはもう、そんなことはどうでも良かった。
命令を託されていた金さんのことさえ、頭の片隅にも残っていなかった。
恋は盲目と言うが、松五郎は、身も心も捧げても良いくらいに、茶露に惚れきってしまっていた。
勿論茶露は、そのように自分に惚れてくれている男の存在など、知る由もなかったが・・・。
淡々として、馬を進めるだけの茶露であった。
松五郎は、最早萬久を見張ることなども忘れ、理由をつけては茶露に近づこうと必死である。
食事の時などは、手づから食べ物をや飲み物を運んだり、気を引こうと一生懸命だ。
そんな松五郎を、同じ忍者の菩薩は、冷ややかな目で見ていた。
彼は、松五郎が恋に落ちたことを、感づいていたのである。
(忍びの癖に、おなごになど惚れるなど言語道断!)
そう思って、心の中で、舌打ちをする菩薩である。
が、一計が浮かんだ。
萬久に化けた菩薩は、松五郎に近づいて行きこう言った。
『松五郎さん、知っていなさるかい、あの茶露さんのこと・・』
『いや、何も知らねえが、茶露さんがどうしたんだい?』
松五郎は、今まで萬久のことを疑っていたのも忘れて、茶露の話だというので聞き耳を立てた。
『いやね、彼女には婚約者がいて、今回の件が落ち着いたら、どうやら結婚するらしいぜ・・・』
『えっ・・・、そそそ、それはまことですかい?』
松五郎の顔が、青ざめている。
続く・・・
2010-02-22 05:53
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コメント(16)
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松五郎。。。やっぱその線でキャストから消えていくのねwww
マクシー将校の動きに偵察隊を送ろうとしている、おいらです。
一番、茶露さんに惹かれているのは、光暴大師匠ではないのでしょうか(ゲェヘヘ
by OSCAR (2010-02-22 08:35)
現実の松さんの生活と江戸末期の松さんをダブらせると多少無理はありますが、安泰幌の茶露さんがこのような形で絡んでくるとは・・・(プッ
萬久と菩薩が同じ人物の設定も不可思議・・・(笑
三河屋の動向もきになります・・・(謎
大橋虎造さんは多忙のご様子、まだまだ終焉は迎えられませんね・・・(微笑
今週は恙無く続きそうですか?
by kamono (2010-02-22 10:14)
オスカル提督
>やっぱその線でキャストから消えていくのねwww
失踪は時間の問題でしょうか?(笑)
>マクシー将校の動きに偵察隊を送ろうとしている、おいらです。
美脚を送って、面食らわしましょう!(爆)
>茶露さんに惹かれているのは、光暴大師匠ではないのでしょうか(ゲェヘヘ
早く雇えと言われ続けています・・・(苦笑)
by moimoi (2010-02-22 11:23)
鴨野さん
>松さんの生活と江戸末期の松さんをダブらせると多少無理はありますが
ガハハハ、そうですね!
少し活躍させようと思ったのですが、行方不明ではねえ・・(苦笑
>萬久と菩薩が同じ人物の設定も不可思議・・・
もうすぐ救出されるから、それまでの辛抱です。(笑)
>今週は恙無く続きそうですか?
早速明日から赤信号です!(爆)
by moimoi (2010-02-22 11:28)
おはようございます!
今起きました。
昨夜はなかなか子供が寝付かず朝方まで起きていました(><)
今頃は泰帯あたりを進んでいるのでしょうか?
一体私はどこで何をしているんでしょうかね~(涙)
by 萬久 (2010-02-22 11:44)
萬久さん
子守、ご苦労様です。
血を分けた我が子です。
大事に育てましょうね!(笑)
>一体私はどこで何をしているんでしょうかね~(涙)
だいぼーじ!
いつは助け出されるでしょう!
でも、生きているのかな?(爆)
by moimoi (2010-02-22 12:33)
今日はオリンピックのカーリングにはまってしまいこんな時間になりました
美脚を楽しみにしています
by 苑on (2010-02-22 16:16)
なんだよ・・・
今日までの分まとめて読みましたが
光坊太子の像に
黄金色の水をかけて
頭がピカーと光り放ち
金が出てくるという話は・・・どちらの方向に・・・
というか
まだまだつづくね・・こりゃw
もう一個の方もけりは付いていないしw
さぼるはいけませんぞ!!
しっかりエンディングまで書きなはれ!!
(゚∀゚)ほほ
by (´ρ`) (2010-02-22 16:27)
ありゃりゃ??こう平夫婦、復帰しちゃいましたね(笑)
作者さんの餌食になるのは目に見えてます(>_<)
茶露さん素敵です!!
by こう平 (2010-02-22 19:49)
埋められていなくて良かった!(笑
>忍びの癖に、おなごになど惚れるなど言語道断!
肝に銘じておきます!
ピカァ~チュウ (ポケモン風に 爆!
by 来たばかりですから の 菩薩 (2010-02-23 01:14)
苑さん
>美脚を楽しみにしています
う~ん、このリクエストには、表現力が要るので難しいなあ・・・
仕方がない!
マクシー先生に聞いてきます!(爆)
by moimoi (2010-02-23 05:47)
とろ吉どん
>今日までの分まとめて読みましたが
毎日、欠かさず読みなさい!
>金が出てくるという話は・・・どちらの方向に・・・
頭から、湯気が出ています!(笑)
>さぼるはいけませんぞ!!
早速、今日は休みだわね!
>エンディングまで書きなはれ!!
今年の重大目標だす!(爆)
by moimoi (2010-02-23 05:51)
こう平どん
>作者さんの餌食になるのは目に見えてます(>_<)
うんうん、餌食にして欲しいのね!(笑)
>茶露さん素敵です!!
今度、教育的指導をして貰おうね!(爆)
by moimoi (2010-02-23 05:52)
来たばかりですから の 菩薩さん!(笑)
>肝に銘じておきます!
帰ったばかりの日にコメントが入ってないと、作者がお怒りです!(爆)
by moimoi (2010-02-23 05:55)
疲れてごぶさたしました。
松五郎が終に失踪ですか・・・・・
最近馬の登場がなくて寂しい気がします。
ルソン焼の壷で特製ドリンクを飲ませましょう。
ラーメンはじめます(本日から)
by 大橋虎造 (2010-02-23 10:48)
大橋どん
いやいや、生きていたのですね・・(涙)
松五郎の失踪は、避けて通れないでしょう・・・!
馬造は、行方不明ですが、無事なのでしょうか?
『無事、これ名馬なり』、と云いますが、駄馬だったらどうするの?(爆)
by moimoi (2010-02-23 21:29)