英造がゆく ~呂宋漂流記~ その四 [フィクション]
英造は、トニーの真意がまだ分からなかった。
但し、激しく同情はした。
その証拠に、英造は泣き出した位である。
『そうか、そうか、可哀相にのう・・・』
トニーの肩を叩きながら、妹の方を振り返って、涙を、腕で拭い去った。
『わしに、何か出来ることはないか?』
思わず、英造はそう云ったが、それを聞いたトニーの目が、一瞬光ったのには気付かなかった。
『英造さん、独身ディバ』
『おう、そうじゃが、その話はさっきした通りじゃ。』
英造は、マニラに着いて、女に騙された話をしていたので、トニーも先刻承知のことである。
『英造さん、私の、この妹と結婚しない?』
『???・・・・・』
『妹のセシルは、まだ23歳だけ・・・恋人も子供もいないよ・・』
『い、いきなりかよ・・・』
英造は、はっきり言って戸惑った。
セシルも、自分のことを言われて分かっているのであろうか、うつむいたまま恥らっている。
英造は、トニーがどうして自分を家に、連れて帰ったかが分かった。
妹に手術をさせる為に、日本人と結婚さそうと考えたのである。
(したたかなやっちゃな・・・)
英造は思ったが、一方でセシルには、充分惹かれている自分である。
ついついOKだと云いそうになったが、そこは用心することにした。
何か裏でもないかと、疑い始めたのである。
いかに海の男で、気性がさっぱりしていても、結婚ともなるとさすがに別であろう。
慎重にならざるを得ないが、トニーの話を聞くうちに、そこに裏は無いように感じてきた。
セシルとも2、3会話してみたが、日本語が少しは分かるらしく、性格は良さそうである。
ともあれ、トニーの語調は、段々と熱を帯びてきた。
妹を思う気持ちが、きっと溢れているのだろう。
熱意を持って、英造に勧めるのである。
英造は、少しづつ、トニーに追い詰められていくような気がしてきた。
食事が終わり、リビングでブランデー飲みながらも、その話が続いていた。
英造は、そこでセシルの横に座らされた。
もはや、酒の酔いで、意識が朦朧としてきた英造である。
横に座っているセシルを眺めながら、最早、PP状態に陥れられたと言っていい。
セシルの可愛さも手伝ってか、最後には、積極的に結婚の承諾をしてしまった英造である。
トニーの喜びと来たら、もう他に例えようもないくらいだ。
英造に、握手とキスの嵐を与えていた。
セシルも、英造には好意を持っているのか、兄が勝手に決めたようなことに、反抗することも無く、ただおとなしく、身を任せているような感じである。
生れ付きの病を持つ身にとっては、兄の力がないと生きていけないだけに、兄であるトニーの云うことには、一も二も無く、従おうと決めていたのかも知れない。
ともあれ、英造は承諾した。
その後の帰国までの5日間は、セシルとデートなどもして過ごすことになったが、一つ問題が発生していたのである。
問題とは、トニーの奥さんにあった。
彼女が、猛反対を始めたのである。
続く・・・・・
皆さんも入ってね!!!
但し、激しく同情はした。
その証拠に、英造は泣き出した位である。
『そうか、そうか、可哀相にのう・・・』
トニーの肩を叩きながら、妹の方を振り返って、涙を、腕で拭い去った。
『わしに、何か出来ることはないか?』
思わず、英造はそう云ったが、それを聞いたトニーの目が、一瞬光ったのには気付かなかった。
『英造さん、独身ディバ』
『おう、そうじゃが、その話はさっきした通りじゃ。』
英造は、マニラに着いて、女に騙された話をしていたので、トニーも先刻承知のことである。
『英造さん、私の、この妹と結婚しない?』
『???・・・・・』
『妹のセシルは、まだ23歳だけ・・・恋人も子供もいないよ・・』
『い、いきなりかよ・・・』
英造は、はっきり言って戸惑った。
セシルも、自分のことを言われて分かっているのであろうか、うつむいたまま恥らっている。
英造は、トニーがどうして自分を家に、連れて帰ったかが分かった。
妹に手術をさせる為に、日本人と結婚さそうと考えたのである。
(したたかなやっちゃな・・・)
英造は思ったが、一方でセシルには、充分惹かれている自分である。
ついついOKだと云いそうになったが、そこは用心することにした。
何か裏でもないかと、疑い始めたのである。
いかに海の男で、気性がさっぱりしていても、結婚ともなるとさすがに別であろう。
慎重にならざるを得ないが、トニーの話を聞くうちに、そこに裏は無いように感じてきた。
セシルとも2、3会話してみたが、日本語が少しは分かるらしく、性格は良さそうである。
ともあれ、トニーの語調は、段々と熱を帯びてきた。
妹を思う気持ちが、きっと溢れているのだろう。
熱意を持って、英造に勧めるのである。
英造は、少しづつ、トニーに追い詰められていくような気がしてきた。
食事が終わり、リビングでブランデー飲みながらも、その話が続いていた。
英造は、そこでセシルの横に座らされた。
もはや、酒の酔いで、意識が朦朧としてきた英造である。
横に座っているセシルを眺めながら、最早、PP状態に陥れられたと言っていい。
セシルの可愛さも手伝ってか、最後には、積極的に結婚の承諾をしてしまった英造である。
トニーの喜びと来たら、もう他に例えようもないくらいだ。
英造に、握手とキスの嵐を与えていた。
セシルも、英造には好意を持っているのか、兄が勝手に決めたようなことに、反抗することも無く、ただおとなしく、身を任せているような感じである。
生れ付きの病を持つ身にとっては、兄の力がないと生きていけないだけに、兄であるトニーの云うことには、一も二も無く、従おうと決めていたのかも知れない。
ともあれ、英造は承諾した。
その後の帰国までの5日間は、セシルとデートなどもして過ごすことになったが、一つ問題が発生していたのである。
問題とは、トニーの奥さんにあった。
彼女が、猛反対を始めたのである。
続く・・・・・
皆さんも入ってね!!!
2009-03-02 09:20
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コメント(14)
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はやっ!!。。。毎週土曜日じゃなかったのですかい??(笑...先々週の分ですね!!
なかなか速いテンポで進んでいますね!!。。。英造さんの酔っ払ってデレ~ッとしてきた顔を想像しています...ガハハ
奥さんの猛反対を英造さんとセシルチョコレートがどうかわして行くのでしょうか??...まだVISA無いから駆け落ちもできないしなぁ。。。
by OSCAR (2009-03-02 10:58)
『わしに、何か出来ることはないか?』
云っちゃいましたね、
by sakura (2009-03-02 11:07)
OSCARさん
そうです!
先週の埋め合わせです!(笑)
英造さん、まだ見たことは無いのですが、想像して書いていますが、あっていますでしょうか?
奥さんの反対は、いずれ嵐を呼びそうですよ!
by moimoi (2009-03-02 11:54)
sakuraさん
体調は戻りましたでしょうか?
得意の一言コメント有難う御座います!(笑)
このセリフを云ってしまっては、もう後には引けませんね!
P型脳炎患者の、典型的な特徴です!(爆)
by moimoi (2009-03-02 11:56)
>一方でセシルには、充分惹かれている自分である
いや… それだけじゃ収まりません。
もうこの時点で下心がパンツから はみ出してますな!
リアル英造の場合だと… がははははは
by 英造 (2009-03-02 18:06)
妹の手術以外にも何か魂胆があるのでしょうか?
深まる謎・・・
by mak (2009-03-02 19:46)
こんにちは
男は何歳になっても、何回結婚しても絶えず相手は20代。
これではお男を止められません。
でも、真実は人に言えない苦労の連続。
英造君にはそんな苦労をさせたくないのですが・・・
by はっつ (2009-03-02 20:57)
まんまとはまっちゃった感じでしょうか!?
小説とわかっていても、心配です(^_^;)
by いけ麺 (2009-03-03 01:06)
『わしに、何か出来ることはないか?』・・・・
梅さんたら・・・・・
だめよ・・・・・
奥さんが反対な訳は・・・・
これは解らんな?
、モシカシテ比国人の幼馴染の彼氏がいたりして・・・・・?
英造のカワワナ将来がみえてきます。
by imus0216 (2009-03-03 01:44)
英造さん
なるほど、もっと真実を書かねばなりませんな!(笑)
リアル英造さんは、いつこちらに見えられるにでしょうか?
早く、取材させてくださいね!(爆)
by moimoi (2009-03-03 06:47)
makさん
さあ?
どうなんでしょうねえ、作者の意図は・・・???(笑)
気まぐれで書いているから、自分にも把握出来ていないのでは?(爆)
by moimoi (2009-03-03 06:49)
はっつさん
自分より若い子を選びたがるのは、男の性(さが)ですねえ・・・
いえいえ、英造にはもっともっと苦労が待ち構えています。
続きが楽しみですよ~!!
by moimoi (2009-03-03 06:52)
いけ麺さん
心配して頂き有難うございます!
いえいえ、英さんなら大丈夫ですよ!
生命力は、人一倍ありそうですから・・・(笑)
どんな物語になるのか、作者も知らないのですから、楽しみですねえ!(爆)
by moimoi (2009-03-03 06:56)
大橋さん
皆さんは、深く考えすぎです!(笑)
作者は何度も言いますが、適当に書いているだけですから・・・
まだ、どうして嫌いなのか、何が起こるのか何も考えていません!(爆)
by moimoi (2009-03-03 06:58)