幕末ピンパブ物語 呂宋編 第十二回 『萬久危うし!』 [フィクション]
女魔術師は、萬久がいなくなった所で、舞台の幕を引いた。
暫くすると、萬久だけが舞台裏から出てきて、皆から拍手喝采で迎えられた。
客席はもう、大歓声の渦である。
萬久は、照れながら自分のテーブルに戻ったが、鴨野に、『萬久殿、お見事で御座ったな!』と冷やかされると、『あははは、とんでもない。』、と言って笑い飛ばした。
大橋に感化されたオスカル提督は、調子に乗って、アイスペールカクテルを作り続け、馬造に飲ましたり、自分の部下に強制的に飲ませたりと、大変な大騒ぎになっている。
神事屋なども、ふるっていた。
怒涛の勢いで、踊り子めがけ突入して悲鳴を上げさせていたし、ドサクサに紛れて給仕女にモーションを掛けようとしたこう平は、弁当にバレて鉄肘(てつひじ)を喰らわされている。
とろ吉は相変わらずの大食漢で、酒や料理を鯨のごとく平らげていたし、松五郎は、次から次へと出てくるスペイン料理の研究に余念がない。
鴨野は、酔いつぶれて寝ている馬造に向かって説教したりと、相変わらずの天下のご意見番ぶりの中、ひとり良庵だけは物静かで、ニコニコと笑いながら、マイペースで杯を重ねていた。
宴は延々と続き、夜中の12時過ぎまで続いて、ようやくお開きになった。
そして一行は、提督の用意した宿舎に泊まることになったが、夜中に一人、その宿舎を抜け出した男があったのを、誰も知る由もない。
その男は、そっと宿舎を抜け出すと、護衛の目をくぐり抜け、海岸通りにある一軒の宿に入った。
そして、ある一室の前に来て、ドアトントンとノックすると、中から、『お入り!』、と言う声が聞こえ、男は、その中へと入っていった。
『ご苦労だったね。』
中にいた、男が言った。
『はい、旦那様。』
入ってきた男がそう答えたが、何とその男は萬久である。
『もう、そろそろ仮面を脱いだらどうだ?』
中の男は、そう言った。
『はい、旦那様、ただいま・・・』
男はそう言って仮面を脱いだが、その顔は、忍者の菩薩そのものである。
となると、中にいたのは、やはり三河屋だ。
『首尾は、上々だったな!』
三河屋は、ほくそ笑んだ。
『左様で・・・』
菩薩は、口数が少ない。
まあ、それだけ目立たないから、忍び稼業が出来るのであろう。
『この男、どうすれば良いのか?』
三河屋は、部屋の隅で後手縛りに縛られ、さる轡を噛まされて失神している男を指さしてそう言った。
『殺すには及びますまい、今のところ毎日コメントもくれておりますし、何処か遠くで、監禁しておくだけで宜しゅう御座いましょう。』
菩薩はそう答えたが、流石に菩薩の名を汚さない男ではある。
優しいこと、この上ない。
少し説明しておこう。
菩薩は女魔術師に化け、パーティ会場に忍び込んで、萬久の姿を奇術で隠すと、眠り薬で気を失わせ、そのまま萬久になりすまして、一行の前にしゃあしゃあとして戻った。
眠らされた萬久は、外で待機していた三河屋が、宿まで運び込み監禁した。
甲賀忍法、変わり身の術とはこのことであろう。
まさか、ラグーナで監禁か?、萬久の運命は?、続く・・・
暫くすると、萬久だけが舞台裏から出てきて、皆から拍手喝采で迎えられた。
客席はもう、大歓声の渦である。
萬久は、照れながら自分のテーブルに戻ったが、鴨野に、『萬久殿、お見事で御座ったな!』と冷やかされると、『あははは、とんでもない。』、と言って笑い飛ばした。
大橋に感化されたオスカル提督は、調子に乗って、アイスペールカクテルを作り続け、馬造に飲ましたり、自分の部下に強制的に飲ませたりと、大変な大騒ぎになっている。
神事屋なども、ふるっていた。
怒涛の勢いで、踊り子めがけ突入して悲鳴を上げさせていたし、ドサクサに紛れて給仕女にモーションを掛けようとしたこう平は、弁当にバレて鉄肘(てつひじ)を喰らわされている。
とろ吉は相変わらずの大食漢で、酒や料理を鯨のごとく平らげていたし、松五郎は、次から次へと出てくるスペイン料理の研究に余念がない。
鴨野は、酔いつぶれて寝ている馬造に向かって説教したりと、相変わらずの天下のご意見番ぶりの中、ひとり良庵だけは物静かで、ニコニコと笑いながら、マイペースで杯を重ねていた。
宴は延々と続き、夜中の12時過ぎまで続いて、ようやくお開きになった。
そして一行は、提督の用意した宿舎に泊まることになったが、夜中に一人、その宿舎を抜け出した男があったのを、誰も知る由もない。
その男は、そっと宿舎を抜け出すと、護衛の目をくぐり抜け、海岸通りにある一軒の宿に入った。
そして、ある一室の前に来て、ドアトントンとノックすると、中から、『お入り!』、と言う声が聞こえ、男は、その中へと入っていった。
『ご苦労だったね。』
中にいた、男が言った。
『はい、旦那様。』
入ってきた男がそう答えたが、何とその男は萬久である。
『もう、そろそろ仮面を脱いだらどうだ?』
中の男は、そう言った。
『はい、旦那様、ただいま・・・』
男はそう言って仮面を脱いだが、その顔は、忍者の菩薩そのものである。
となると、中にいたのは、やはり三河屋だ。
『首尾は、上々だったな!』
三河屋は、ほくそ笑んだ。
『左様で・・・』
菩薩は、口数が少ない。
まあ、それだけ目立たないから、忍び稼業が出来るのであろう。
『この男、どうすれば良いのか?』
三河屋は、部屋の隅で後手縛りに縛られ、さる轡を噛まされて失神している男を指さしてそう言った。
『殺すには及びますまい、今のところ毎日コメントもくれておりますし、何処か遠くで、監禁しておくだけで宜しゅう御座いましょう。』
菩薩はそう答えたが、流石に菩薩の名を汚さない男ではある。
優しいこと、この上ない。
少し説明しておこう。
菩薩は女魔術師に化け、パーティ会場に忍び込んで、萬久の姿を奇術で隠すと、眠り薬で気を失わせ、そのまま萬久になりすまして、一行の前にしゃあしゃあとして戻った。
眠らされた萬久は、外で待機していた三河屋が、宿まで運び込み監禁した。
甲賀忍法、変わり身の術とはこのことであろう。
まさか、ラグーナで監禁か?、萬久の運命は?、続く・・・
2010-02-01 06:13
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コメント(18)
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手の込んだトリックを・・・(プッ
作者が後から説明するようなマジックだったのか・・・(笑
萬久の運命もさることながら三河屋の今後の動きが分らぬ・・・(謎①
勿論それぞれがそれぞれの欲の突っ張りあいになるであろう財宝探し・・・
今週中にその片鱗を知らせてもらえるのか・・・(謎②
お順の生家を訪れる暇があるのだろうか・・・?(謎③
登場者はそれぞれはコメントなる参加にてご自分の身の振り方を
作者に相談されては如何であろうか?
拙者は幕府の任から逃れ、呂栄国の片田舎で野菜でも作りながら、
お順と暮らしたいぞよ・・・(ハッピーエンド!
*オナゴはお順に拘らない・・・(ヘヘヘヘ!
by kamono (2010-02-01 07:57)
>ラグーナで監禁か?、萬久の運命は?
(-_-メ)y-.。o○ヒッコシオワリマシタ
by sakura (2010-02-01 08:06)
鴨野さん
>*オナゴはお順に拘らない・・・(ヘヘヘヘ!
パロパロですなあ・・(笑)
>萬久の運命もさることながら三河屋の今後の動きが分らぬ
明日以降、明らかになるかと・・・
>今週中にその片鱗を知らせてもらえるのか・・・(謎②
来週には、明らかになるかと・・・
>お順の生家を訪れる暇があるのだろうか・・・?(謎③
来年には、明らかになるかと・・・(爆)
by moimoi (2010-02-01 08:20)
>(-_-メ)y-.。o○ヒッコシオワリマシタ
おお、終わりましたか?
昨日は、タイガー大橋邸で、とろ吉、大橋の両氏による、ラーメン勝負が行われました。
白熱した戦いでしたよ!(笑)
by moimoi (2010-02-01 08:22)
今度は私が拉致監禁ですか?
拉致監禁が駅弁光暴大師のご趣味だったとは(爆
とほほ・・・
by 萬久 (2010-02-01 08:45)
(´ρ`)
/(^o^)\ナンテコッタイ
by (´ρ`) (2010-02-01 09:06)
萬久さん
拉致監禁が駅弁光暴大師のご趣味だったとは
いえいえ、不本意なのですが、三河屋さんと菩薩さんが好きなので・・・(爆)
>とほほ・・・
さあ、嘆く前に脱出の努力をしましょうね!(爆、爆、爆)
by moimoi (2010-02-01 09:09)
とろ吉さん
>/(^o^)\ナンテコッタイ
萬久さんを、勇気づけてあげて下さいな!(笑)
by moimoi (2010-02-01 09:16)
そうか~コメントしない埋められる鴨知れないんですね。
そうすると私は、登場する前に死んでいたり?・・・・・
あっ、だから豊臣時代の・・・・・・・(涙
by 山奥の掃き溜めに鶴 (2010-02-01 11:22)
山奥屋さん
>そうか~コメントしない埋められる鴨知れないんですね。
非情な作者で恐れ入ります!(笑)
>そうすると私は、登場する前に死んでいたり?・・・・・
いつ登場するかは、私にも謎です!(爆)
>あっ、だから豊臣時代の・・・・・・・
だからそれは、ご先祖様ですがな・・・(号泣)
by moimoi (2010-02-01 12:02)
読み通りの展開でしたがこんなに手の込んだトリックとは思いませんでした(>_<)
ちょっと前に拉致監禁と言う言葉が流行りましたね(笑)
異物混入も。アコは異物挿入したいですけど(爆)
by こう平 (2010-02-01 14:19)
さて、夕べもアイスペール焼酎を飲まされ、ハンオーバーな馬でございます。
中々手の込んだトリックですな!駅弁光暴大師とは、素晴らしいネーミングですわ!
萬久様に10000点!ww
by 馬造 (2010-02-01 14:29)
こう平どん
>ちょっと前に拉致監禁と言う言葉が流行りましたね(笑)
拉致監禁は作者も好きなようで、馬造、お欄に続き3人目です。(笑)
>異物混入も。アコは異物挿入したいですけど(爆)
生な表現だなあ・・・
おいらもしたいけど・・・(爆)
by moimoi (2010-02-01 15:48)
馬造さん
>夕べもアイスペール焼酎を飲まされ、ハンオーバーな馬でございます。
あれれ、やっぱり遊んで貰ったのね!(笑)
だから、早めに逃げておけば良かったのに・・・
>萬久様に10000点!ww
君も、もう一度監禁されたいのね・・・(爆)
by moimoi (2010-02-01 15:50)
監禁されてその後が楽しみな展開ですね。
本日のこう平の描写は見事でんな、実際にありそうな話しですからね(笑)
明日がたのしみだなー
by タイガー大橋 (2010-02-01 22:58)
タイガー大橋さん
手が込んだトリックでは無いと思ったのですが・・・(苦笑)
萬久さんは、どうなるのでしょう?
思わず、物語の展開上書きましたが、この先はどうなるのか見当が付きません。
但し、『駅弁光暴大師』と言ったのは、致命的でしょうな!(爆、爆、爆)
by moimoi (2010-02-02 00:51)
>>そうか~コメントしない埋められる鴨知れないんですね。
>非情な作者で恐れ入ります!(笑)
う~ やばい 埋められるぅー(笑
>甲賀忍法、変わり身の術
変わり身が早いって たまに ババエに言われます(><)
女装は趣味だってりして!?(爆
by 菩薩 (2010-02-03 00:08)
菩薩さん
>う~ やばい 埋められるぅー(笑
無事に安泰幌に到着出来るかどうか・・・?(爆)
>女装は趣味だってりして!?(爆
超、似合ってたりして・・・(笑)
by moimoi (2010-02-03 10:41)