幕末ピンパブ物語 呂宋編 第一回 [フィクション]
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおうううううううううううううう!』
馬造が、雄叫びを上げた。
いよいよ、呂宋国に向けて船出の日がきたのだ。
開港されたばかりの横浜港から、神事屋の持ち船である『怒涛丸』に、皆が乗り込んでいる。
鴨野艦長が、出港の指揮を執っていた。
本当は、蒸気船と洒落込みたかったのではあるが、石炭など費用が余計に嵩むため、昔ながらの千石船での航行ということになった。
幕府は、鎖国政策の施行と同時に、千石以上の大型船の建造を禁じた。
西国諸藩が大型船を率いて、幕府を襲ってくるのを恐れたのだ。
余談はいい。
ともあれ、一行は港を離れるべく、帆を上げた。
船は順調に滑り出したが、港の脇に建っている西洋レストランの影で、それを見送っている、一人の男の姿があったのを見逃してはならない。
紛れもない、三河屋その人である。
彼の顔は、復讐の念で満ちていた。
(ういひひひひ、今に見ておれよ・・・・・)
三河屋は、そう思いながらほくそ笑む。
そんな三河屋の思いも知る由もない一行は、出発することの喜びに浸りきっていたのだ。
『よ~そろ~』
そう大声で叫びながら、鴨野が取舵を取った。
ようそろとは航海用語で、船を直進させることを意味する操舵号令である。
当然その号令は、艦長である鴨野が発するものだ。
ちなみに、主な乗組員の役職を紹介しておこう。
鴨野艦長の下(もと)、大橋は、副艦長兼料理長、とろ吉は副料理長で、神事屋と萬久が機関長及び副機関長、料理見習いにこう平弁当夫婦、馬造はコメント不足によるペナルティで下働きだ。
良庵先生は、別格である。
阿蘭陀先生と異名をとる良庵は、乗組員全員の健康を守るために特別に乗船した。
金さんの要請もあったのもさることながら、命を落すかも知れないこの捜索隊に、自ら志願して、乗り込んでくれたのであった。
医は仁術とは言うが、欲とはかけ離れた、高潔な意志の持ち主ではある。
・・・とは口実で、本音は『葱屋』で知り合った呂宋娘の魅力に取り憑かれ、こうなれば、本場のローカル娘に会ってみたいというのが、本音かも知れない。(爆)
あっ、一人忘れていた。
居酒屋の亭主で、隠密の松五郎である。
奴も今後、重大な任務を帯びることになろう。
彼らの出航を見送った三河屋には、したたかな思惑があった。
どうせ、行く先は分かっている。
せこい神事屋とは違い、金は必要なときには惜しげも無く使う三河屋である。
汽船を一隻、チャーターした。
乗組員込で、呂宋まで500両である。
しかし、台湾経由なので、少々時間は掛かるが、帆船よりかはましであろう。
お供は、下働きに化けた甲賀忍びの菩薩だけである。
大人数は目立つからだが、いざとなったら金にあかせて、随時人を雇う気でいた。
鴨野達に遅れること10日後、彼らも日本を後にすることになっている。
今後の運命や如何に・・・
続く・・・
馬造が、雄叫びを上げた。
いよいよ、呂宋国に向けて船出の日がきたのだ。
開港されたばかりの横浜港から、神事屋の持ち船である『怒涛丸』に、皆が乗り込んでいる。
鴨野艦長が、出港の指揮を執っていた。
本当は、蒸気船と洒落込みたかったのではあるが、石炭など費用が余計に嵩むため、昔ながらの千石船での航行ということになった。
幕府は、鎖国政策の施行と同時に、千石以上の大型船の建造を禁じた。
西国諸藩が大型船を率いて、幕府を襲ってくるのを恐れたのだ。
余談はいい。
ともあれ、一行は港を離れるべく、帆を上げた。
船は順調に滑り出したが、港の脇に建っている西洋レストランの影で、それを見送っている、一人の男の姿があったのを見逃してはならない。
紛れもない、三河屋その人である。
彼の顔は、復讐の念で満ちていた。
(ういひひひひ、今に見ておれよ・・・・・)
三河屋は、そう思いながらほくそ笑む。
そんな三河屋の思いも知る由もない一行は、出発することの喜びに浸りきっていたのだ。
『よ~そろ~』
そう大声で叫びながら、鴨野が取舵を取った。
ようそろとは航海用語で、船を直進させることを意味する操舵号令である。
当然その号令は、艦長である鴨野が発するものだ。
ちなみに、主な乗組員の役職を紹介しておこう。
鴨野艦長の下(もと)、大橋は、副艦長兼料理長、とろ吉は副料理長で、神事屋と萬久が機関長及び副機関長、料理見習いにこう平弁当夫婦、馬造はコメント不足によるペナルティで下働きだ。
良庵先生は、別格である。
阿蘭陀先生と異名をとる良庵は、乗組員全員の健康を守るために特別に乗船した。
金さんの要請もあったのもさることながら、命を落すかも知れないこの捜索隊に、自ら志願して、乗り込んでくれたのであった。
医は仁術とは言うが、欲とはかけ離れた、高潔な意志の持ち主ではある。
・・・とは口実で、本音は『葱屋』で知り合った呂宋娘の魅力に取り憑かれ、こうなれば、本場のローカル娘に会ってみたいというのが、本音かも知れない。(爆)
あっ、一人忘れていた。
居酒屋の亭主で、隠密の松五郎である。
奴も今後、重大な任務を帯びることになろう。
彼らの出航を見送った三河屋には、したたかな思惑があった。
どうせ、行く先は分かっている。
せこい神事屋とは違い、金は必要なときには惜しげも無く使う三河屋である。
汽船を一隻、チャーターした。
乗組員込で、呂宋まで500両である。
しかし、台湾経由なので、少々時間は掛かるが、帆船よりかはましであろう。
お供は、下働きに化けた甲賀忍びの菩薩だけである。
大人数は目立つからだが、いざとなったら金にあかせて、随時人を雇う気でいた。
鴨野達に遅れること10日後、彼らも日本を後にすることになっている。
今後の運命や如何に・・・
続く・・・
2010-01-21 06:28
nice!(1)
コメント(22)
トラックバック(0)
わくわく(^^)
物語の上だけでも渡比できるのが嬉しいです!
なるべくコメントを入れますので
海の藻屑だけはご勘弁を(爆
早くローカルに逝きたい!!!
by 萬久 (2010-01-21 08:50)
お早う御座います。
皆様のご迷惑にならないように、気を付けます。
コメントも毎日入れます。どうか、昨日の様な記事はご勘弁ください。
昨夜はご馳走様でした。LRTで帰れました。
出航しましたね。大橋虎造さんととろ吉さんが居ると言う事は、相当量のお酒が積み込んであるのでしょうね(爆
二人が暴れて僕が海へ落ちるなんて事にならない事を祈ります(願
by 下働きの馬 (2010-01-21 08:56)
萬久さん
心配はありません。
呂宋に着くまでは、命の保証はしておきましょう。(笑)
ところで、実体のあるmakさんは、いつこちらに来られるのでしょうか?
洗礼式だと、お子さんが2歳になるまでは飛行機に乗らない方がいいですよ。
単独で、渡比しましょう!
ローカルが待ってます!(爆)
by moimoi (2010-01-21 09:12)
馬造さん
ご苦労様です!
>二人が暴れて僕が海へ落ちるなんて事にならない事を祈ります
え~、下書きでは既に海に落ちているのですが・・・(爆)
>相当量のお酒が積み込んであるのでしょうね(爆
まあ、食料より多いのは、間違いないでしょうね!(大爆)
by moimoi (2010-01-21 09:15)
>単独で、渡比しましょう!
ローカルが待ってます!
ありがとうございます!
そういってくれるのは作者さんだけです(号泣
馬造さんからは何もお誘いがありません(滝涙
一番の問題はアリバイ作りです(涙
どうしましょう?
なにか良いお知恵はありませんか?
by 萬久 (2010-01-21 09:25)
萬久密輸王さん
>馬造さんからは何もお誘いがありません(滝涙
今度、埋めときます!(笑)
>一番の問題はアリバイ作りです(涙
>なにか良いお知恵はありませんか?
う~ん、友達がフィリピンで結婚することになった・・・(駄目か)
馬造が落馬して怪我をしたのでお見舞いに・・・(あっ、馬はあいつだった)
うん、これだ!
財宝の情報が入ったから、掘りに行ってくる・・・(爆)
by moimoi (2010-01-21 09:41)
いよいよ渡航ですな・・・(ニンマリ!
神事屋さん、金子のご用立てかたじけなく存じます。
これ以上の立身出世は望めそうもありませんが、
何とか財宝を探し当てた暁には・・・(笑
女に身を任せ落ちぶれていくことは容易に推察できます。
呂宋娘の言いなりの子育てに翻弄されるのか・・・(深読み
by kamono (2010-01-21 10:17)
鴨野さん
>呂宋娘の言いなりの子育てに翻弄されるのか・・・
その案頂き・・・!(笑)
念願の移住を、物語の上だけでも味わって見られるのも一興ですね。
さて、役者は揃いました。
これでやっと航行出来ますね!
しかし、素人の艦長さん。
航海、大丈夫すか?(爆)
by moimoi (2010-01-21 10:28)
おいらも船に乗ったのね?
それにしてもメンバーが凄いね・・・・・秀造が船底あたりに隠れて居そうですが(笑)
馬造はきっと何処かで裏切り個人行動に走るのでしょうね、そのタイミングに注目しておりやすぜ。
しかし光師匠の登場がないのが不満なのはおいらだけかな・・・・・・
by 大橋虎造 (2010-01-21 11:46)
大橋さん
>しかし光師匠の登場がないのが不満なのはおいらだけかな・・・・・・
誰じゃー
この『光師匠』という言葉を流行らせたのは~!(爆怒)
>それにしてもメンバーが凄いね
黄金メンバーだすな!
まだまだ増えますぜ!(笑)
>馬造はきっと何処かで裏切り個人行動に走るのでしょうね
馬の暴走を、押さえて下さいな!
・・・て、押さえられるのはどっちかな!(爆)
by moimoi (2010-01-21 12:10)
にゃははw
まぁ光り輝いているからしょうがない
きっと現地で待っていることでしょうw
しかし・・・なんか役割がリアルすぎるところと どうでもいい感じになっているところとw
はてさてどうなることやら・・
草葉の陰から見守っておりますはw
by (´ρ`) (2010-01-21 12:18)
台湾で紹興酒でも大量に仕入れて行きましょうかねえ。(^-^)
日本→台湾でも一儲けできますね。ヾ(^▽^)ノ
by こき麻呂@三河屋(^^ゞ (2010-01-21 12:23)
とろ吉さん
>まぁ光り輝いているからしょうがない
後光が射しているとでも・・・(苦笑)
>どうでもいい感じになっているところとw
でへへ、ばれて~ら!(笑)
>草葉の陰から見守っておりますはw
あのう、自分を殺さないで・・・(爆)
by moimoi (2010-01-21 12:25)
三河屋さん
今回は、密輸は無しの方向で・・・(笑)
>日本→台湾でも一儲けできますね。ヾ(^▽^)ノ
あのう、復讐してくれなくては困るのですが・・・(爆)
by moimoi (2010-01-21 12:28)
コメントしずらい展開ですね。
皆様の活躍を見守っていましょう。
by 山から下りて行けないおやじ (2010-01-21 16:23)
山仙人さん
>皆様の活躍を見守っていましょう。
見守るだけでなく、来週からはいよいよ登場頂きますので、宜しくお願いしますね!(笑)
by moimoi (2010-01-21 16:57)
10日後に出航でござるか ニンニン (忍者ハットリくん風に^^)
by 菩薩 (2010-01-21 20:59)
夫婦喧嘩で迷惑を掛けますが宜しくお願いします(笑)
by こう平 (2010-01-21 21:24)
乗組員の皆様呂宋国に着くまでは一汁一菜で一日二食でオニガイしやす。(栗ぽっと)
by 神事屋 (2010-01-21 22:35)
菩薩さん
少しの間、ご辛抱を・・・(笑)
その内大暴れしなくてはならないので、体力は温存して置いて下さいね!
by moimoi (2010-01-21 22:36)
こう平どん
>夫婦喧嘩で迷惑を掛けますが宜しくお願いします(笑)
やはり、この問題は避けて通れませんか?(笑)
取り返しの付かないことにならないかと、作者は不安です!(爆)
by moimoi (2010-01-21 22:38)
神事屋さん
>一汁一菜で一日二食でオニガイしやす
どひゃあ・・・
物語の中でも、ケチなんですかい?(笑)
グルメの大橋さんが、黙っているかな?(爆)
by moimoi (2010-01-21 22:39)