幕末ピンパブ物語 呂宋編 第五回 [フィクション]
『怒涛丸』は、順調に航海を続けていた。
その頃の航路は、蒸気船ならともかく、帆船であるならば、風(季節風)と海流(親潮、黒潮)に左右されていたので、必然的に航行出来る場所は限られていたが、『怒涛丸』は、問題なく豊後水道を超え、日向灘を抜けて、とうとう外洋に抜けることが出来たのである。
途中、種子島に寄港し、食料や水を仕入れたが、後は琉球に着くまでは、何処にも寄港出来ない。
それまでは、冬の海なので、順風満帆とまでは行かなかったが、それでも小さい嵐を経験しただけで、近場の港に退避出来たから、被害は少なくて済んだ。
これからは、そうはいかないであろう。
『乗組員全員、心して掛からなければいけない、琉球を過ぎたら、呂宋まではもう近いぞ~!』
鴨野は朝礼で、全員に対しそう激励叱咤した。
大橋は、その演説を聞きながら、苦虫を潰したような顔をしていた。
副艦長でありながら、さしたる仕事もなく、その上、大好きな料理が出来る、調理長の座まで松五郎に奪われたのだから、面白くないのに間違いなかろう。
その時である。
とろ吉が、へらへら笑いながら顔を出した。
『へへへ、大虎の兄貴、ご機嫌斜めのようですね。』
『あたぼうよ、こちとら謹慎中で何も出来ねえんで退屈なんだ、おいとろ吉、酒でも飲みてえな?』
大橋は、肩肘をついたまま、寝そべりながらそう言った。
『へへへ、そう言うだろうと思っていやしたぜ、ほらここに良い酒がありまさあ・・・』
『てめえ、さっきからにやにやしてたのは、このせいだったんだな、おい早く飲ませろ!』
大橋は、むくむくと起き上がりながら、とろ吉に催促した。
『へいへい、ただいま。』
とろ吉が持ってきたのは、種子島で食料を調達したときに、ドサクサに紛れて仕入れた芋焼酎だ。
以前から積んであった酒は、大橋がまた飲んで暴れないようにとの配慮から、破棄処分されていた。
大橋が面白くなかった原因は、ここにもあったのである。
芋焼酎の入った大徳利は、あっという間に無くなった。
とろ吉に、もっと持って来いと催促したが、それしか買ってないと言う。
『この馬鹿野郎!』
と雷を落としたが、とろ吉にしてみても、禁じられた品物を買ったわけで、人目に隠れて買ったのだから、そんなには量は調達出来ようはずもなかった。
兄貴分である大橋のことを思って買ったのだから、大橋もそれ以上は文句は言えなかった。
しかし、なまじ少し飲んでしまったから、腹の虫は収まらなかった。
『おい、とろ吉!、台所に料理用の酒があったろう、あいつをちょいと失敬しようじゃあねえか?』
大橋は、良いアイデが浮かんだので上機嫌だ。
『えっ、兄貴あの酒をですかい?あれはやべえっすよ!』
『馬鹿野郎、どうしてやべえってわかるんでえ?』
『あそこは、松五郎が四六時中番をしていてやしてね、うっかりと手出しが出来ねえんでさあ。』
それもそうである。
松五郎は、もともと伊賀の忍びである。
ただの居酒屋のあるじではない。
一筋縄ではいかないのは目に見えている。
『こいつあちょいと、ひと工夫必要なようだな・・・』
大橋は、そうつぶやいて、暫く考えていたが、やがて良い考えが閃いたのか、ハタと膝を叩き、自分の荷物から何やら瓶の容器を引っ張り出し、手に取って、そこに書いてある名前を確認した。
そこには、な、な、な、何と、『美国猛男』、の四文字が・・・・・・・・・・・
続くけど、これってやばかねえ?(爆)
その頃の航路は、蒸気船ならともかく、帆船であるならば、風(季節風)と海流(親潮、黒潮)に左右されていたので、必然的に航行出来る場所は限られていたが、『怒涛丸』は、問題なく豊後水道を超え、日向灘を抜けて、とうとう外洋に抜けることが出来たのである。
途中、種子島に寄港し、食料や水を仕入れたが、後は琉球に着くまでは、何処にも寄港出来ない。
それまでは、冬の海なので、順風満帆とまでは行かなかったが、それでも小さい嵐を経験しただけで、近場の港に退避出来たから、被害は少なくて済んだ。
これからは、そうはいかないであろう。
『乗組員全員、心して掛からなければいけない、琉球を過ぎたら、呂宋まではもう近いぞ~!』
鴨野は朝礼で、全員に対しそう激励叱咤した。
大橋は、その演説を聞きながら、苦虫を潰したような顔をしていた。
副艦長でありながら、さしたる仕事もなく、その上、大好きな料理が出来る、調理長の座まで松五郎に奪われたのだから、面白くないのに間違いなかろう。
その時である。
とろ吉が、へらへら笑いながら顔を出した。
『へへへ、大虎の兄貴、ご機嫌斜めのようですね。』
『あたぼうよ、こちとら謹慎中で何も出来ねえんで退屈なんだ、おいとろ吉、酒でも飲みてえな?』
大橋は、肩肘をついたまま、寝そべりながらそう言った。
『へへへ、そう言うだろうと思っていやしたぜ、ほらここに良い酒がありまさあ・・・』
『てめえ、さっきからにやにやしてたのは、このせいだったんだな、おい早く飲ませろ!』
大橋は、むくむくと起き上がりながら、とろ吉に催促した。
『へいへい、ただいま。』
とろ吉が持ってきたのは、種子島で食料を調達したときに、ドサクサに紛れて仕入れた芋焼酎だ。
以前から積んであった酒は、大橋がまた飲んで暴れないようにとの配慮から、破棄処分されていた。
大橋が面白くなかった原因は、ここにもあったのである。
芋焼酎の入った大徳利は、あっという間に無くなった。
とろ吉に、もっと持って来いと催促したが、それしか買ってないと言う。
『この馬鹿野郎!』
と雷を落としたが、とろ吉にしてみても、禁じられた品物を買ったわけで、人目に隠れて買ったのだから、そんなには量は調達出来ようはずもなかった。
兄貴分である大橋のことを思って買ったのだから、大橋もそれ以上は文句は言えなかった。
しかし、なまじ少し飲んでしまったから、腹の虫は収まらなかった。
『おい、とろ吉!、台所に料理用の酒があったろう、あいつをちょいと失敬しようじゃあねえか?』
大橋は、良いアイデが浮かんだので上機嫌だ。
『えっ、兄貴あの酒をですかい?あれはやべえっすよ!』
『馬鹿野郎、どうしてやべえってわかるんでえ?』
『あそこは、松五郎が四六時中番をしていてやしてね、うっかりと手出しが出来ねえんでさあ。』
それもそうである。
松五郎は、もともと伊賀の忍びである。
ただの居酒屋のあるじではない。
一筋縄ではいかないのは目に見えている。
『こいつあちょいと、ひと工夫必要なようだな・・・』
大橋は、そうつぶやいて、暫く考えていたが、やがて良い考えが閃いたのか、ハタと膝を叩き、自分の荷物から何やら瓶の容器を引っ張り出し、手に取って、そこに書いてある名前を確認した。
そこには、な、な、な、何と、『美国猛男』、の四文字が・・・・・・・・・・・
続くけど、これってやばかねえ?(爆)
2010-01-25 06:29
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コメント(16)
トラックバック(0)
『美国猛男』・・・、以前一度お世話になったことがありました。
花街行脚で飲用しまして、肝心な時にはすでに品切れでした・・・(苦笑
体感的には効果ありとみました・・・(恥
アパートの箪笥に保管してた外箱をオキニに目ざとく見られてしまいました。
全て呂宋国での事である・・・(大恥
とろ吉と大橋、
拙者が承知してるお二人はその道はあまりお好きでないような・・・?(プッ
by kamono (2010-01-25 09:55)
美国猛男
現在は、他のお薬も多々取り扱っているそうです(涙
しかし、ソレで何をしようと言うのか?
とっても楽しみです(笑
by 馬造 (2010-01-25 10:21)
意味が分からん・・・・・
どういう展開なんだろうか・・
酒が無い状況で・・・・って
なんだそりゃーw
by (´ρ`) (2010-01-25 11:47)
女人は三人だけ、男の数は多数ですな、『美国猛男』の効能により女がらみの騒動が勃発しそうな気配。
by shiNji (2010-01-25 12:09)
鴨野さん
>体感的には効果ありとみました・・・(恥
そうでしたか?
私はまだ、試したことはありません。
試す時が来ないことを、祈りたいですね!(笑)
by moimoi (2010-01-25 12:56)
馬造さん
>現在は、他のお薬も多々取り扱っているそうです(涙
まあ人権実験の被検体になっているのだから、その効能にも詳しいでしょう(笑)
しかし、アイスペールにあれを入れられたら、一溜りもないですな!(爆)
by moimoi (2010-01-25 12:58)
とろ吉さん
酒を飲んで暴れないように、以前の酒は、捨てられたのですは。
しかし、なまじ大好きな芋焼酎を飲んだら、悪い虫が起きたようで・・・(こわ)
明日は、どうなるのか?
続きが怖い・・・(爆)
by moimoi (2010-01-25 13:01)
神事屋さん
はい、良い読みでした!(笑)
まあ、それしかないですよね。
さて、犠牲者は誰か?
今から、くじ引きで決めます!(爆)
by moimoi (2010-01-25 13:03)
美国は私も大橋さんからいただいて試しましたが、何ら変化も現れませんでした。
どういうことかわかりませんが、まだ現役なので効果が実感できなかったのか、全く効果がなかったのか?うーむ?( ̄~ ̄;)
by 萬久 (2010-01-25 16:39)
萬久さん
薬慣れしている現代の人間には、相当強い分量を飲まないと駄目なのですかね・・・。
しかし、江戸時代の人間なら、いきなり現代の薬は毒になるかも知れません。
明日の記事がどうなるのか、興味津々です!(爆)
by moimoi (2010-01-25 16:51)
そうきちゃいましたか(笑)
間違えて飲んでしまうのは勿論
馬造さんなんですよね?
やっぱりフィクションじゃないんだ~・・・。
by こう平 (2010-01-25 19:32)
光師匠あらためミスターイラウ師匠・・・・
なんかおいらだけリアル過ぎない?
当然馬が飲むことになるのでしょうね。
by 大橋虎造 (2010-01-25 20:48)
>『美国猛男』
あの~、つまらない質問ですいません。
そういうの使ったことないんですけど。
ちなみに、ソーローとかに効きますかね~。
(ちょっと聞いてみたかっただけですからね。)
by arang (2010-01-25 21:55)
こう平どん
>馬造さんなんですよね?
あれれ、そっちに来ちゃうわけ?(笑)
ここはやっぱりセオリー通りでしょう!?
松を懲らしめないと、大橋殿が浮かばれません!(爆)
by moimoi (2010-01-25 23:41)
大橋さん
>なんかおいらだけリアル過ぎない?
気のせいです!
やっと敵が討てますな!(笑)
>当然馬が飲むことになるのでしょうね。
馬は今回は飲みませんが、次回、違う使い道が・・・(謎爆)
by moimoi (2010-01-25 23:44)
阿鸞さん
>ちなみに、ソーローとかに効きますかね~。
もちろんにそうろう!(笑)
お求めは、イムスワールドでご購入下さい!
効き目は、明日の更新を見てからね!(爆)
by moimoi (2010-01-25 23:46)