幕末ピンパブ物語 呂宋編 第一八回 『阿鸞とマクシー!』 [フィクション]
『あ、安泰幌に呂宋焼きの名人がいると言うので、そ、その人物を探しに行くのです。』
阿鸞は、しどろもどろにそう答えた。
『何、安泰幌だと、あそこは危険だから、オスカル提督が、登山を禁止している場所ではないか?』
マクシーは、咎めるような口調でそう言った。
『ちゃ、ちゃんと提督の許可は頂いています、そ、その為に私も同行しているのですから・・・』
阿鸞は、必死になって弁明したが、マクシーは容易なことでは疑いを解くような男ではない。
『まあいいさ、嘘をついても何ればれることだ、せいぜい頑張って、山賊と戦ってくるんだな・・・』
マクシーは、捨てゼリフを吐いてそこを立ち去ったが、監視はこれからも続けるのであろう。
(全く、嫌な男に目を付けられたものだ・・・)
阿鸞は、前途に暗雲を見た心持ちになった。
元々、苦手なタイプの男である。
以前、職を辞して出家したのも、元はと言えばマクシーが原因であった。
阿鸞の昔の恋人は、同じ中華系フィリピン人で、素晴らしく美人で美脚の持ち主だった。
美脚に目のないマクシーは、彼女に目を付け口説いたが、恋人がいるからと断った。
マクシーはそれでも諦めきれず、色々な手立てを用いて彼女を落とそうと考えた。
危険を察知した彼女の父親は、彼女を中国の実家に帰してしまったのだ。
しかも、恋人である阿鸞にも、何も告げずにである。
悲観した阿鸞は、失意のあまり離職し出家したが、心の傷も少し癒えたので再びオスカルに仕えた。
以後は、今現在の通りである。
以来、阿鸞はマクシーには恨みさえ抱いていたと言っていい。
しかし、二年間の出家生活で、阿鸞は、恨みの心を少し和らげた。
こうして、会話が出来るようにまでなったのには、紆余曲折があってのことだ。
その話はいい。
鴨野は、食事中にも拘わらず、阿鸞が将校と揉めている様子なのを気にして、二人の話が終わると、すかさずその理由を訪ねることにした。
阿鸞の説明を聞いた鴨野は、暗澹たる気持ちになった。
(これからと言うときに、スペイン側から邪魔が入りそうなどとは・・・)
と考えて、少々憂鬱になった。
『気にすることはないですよ!』
話を聞いていた大橋が、口を出した。
宿が提供した、スペイン産ワインを大分飲んだとみえて、少々上機嫌ではある。
『そんなスペインのタコ野郎、拙者が蒲鉾にしてやりますよ。!』
いとも簡単に、そのようなことを言う。
『いやいや、兄貴が出るまでもねえ、おいらが埋めてやりまさあ・・・。』
とろ吉までもが、それに賛同した。
何事に置いても慎重な鴨野は、彼らの発言を頼もしくも思いつつも、窘めながらこう言った。
『いやいや、無理に事を荒立てる必要も御座るまい、ここはひとつ穏便に参りましょう。』
『あっ、それじゃあいい案があるよ!』
同じくワインを飲んで酔っ払っていた弁当が、いきなり口を挟んできた。
『なんだあおめえ、急によお、女の癖に・・・・・』、こう平が不安がってそう言う。
『まあ、あたいの話を聞きなよ、あのマクシーて男、大の美脚好きだってえ話じゃないの、だったらさあ、いざという時ゃあ、あたいのこの自慢の脚を見せつけてやってさあ、あいつの目が釘付けになっている隙に、ふん縛って転がしてやれば良いんでないの?』
弁当が陶酔した顔をしながら、大法螺を喋るのを聞いた大橋は、とてつもない大声で一喝した。
『べらぼう奴、おめえの出る幕じゃねえ、引っ込んで、おととい来やがれえ・・・』
続く・・・
阿鸞は、しどろもどろにそう答えた。
『何、安泰幌だと、あそこは危険だから、オスカル提督が、登山を禁止している場所ではないか?』
マクシーは、咎めるような口調でそう言った。
『ちゃ、ちゃんと提督の許可は頂いています、そ、その為に私も同行しているのですから・・・』
阿鸞は、必死になって弁明したが、マクシーは容易なことでは疑いを解くような男ではない。
『まあいいさ、嘘をついても何ればれることだ、せいぜい頑張って、山賊と戦ってくるんだな・・・』
マクシーは、捨てゼリフを吐いてそこを立ち去ったが、監視はこれからも続けるのであろう。
(全く、嫌な男に目を付けられたものだ・・・)
阿鸞は、前途に暗雲を見た心持ちになった。
元々、苦手なタイプの男である。
以前、職を辞して出家したのも、元はと言えばマクシーが原因であった。
阿鸞の昔の恋人は、同じ中華系フィリピン人で、素晴らしく美人で美脚の持ち主だった。
美脚に目のないマクシーは、彼女に目を付け口説いたが、恋人がいるからと断った。
マクシーはそれでも諦めきれず、色々な手立てを用いて彼女を落とそうと考えた。
危険を察知した彼女の父親は、彼女を中国の実家に帰してしまったのだ。
しかも、恋人である阿鸞にも、何も告げずにである。
悲観した阿鸞は、失意のあまり離職し出家したが、心の傷も少し癒えたので再びオスカルに仕えた。
以後は、今現在の通りである。
以来、阿鸞はマクシーには恨みさえ抱いていたと言っていい。
しかし、二年間の出家生活で、阿鸞は、恨みの心を少し和らげた。
こうして、会話が出来るようにまでなったのには、紆余曲折があってのことだ。
その話はいい。
鴨野は、食事中にも拘わらず、阿鸞が将校と揉めている様子なのを気にして、二人の話が終わると、すかさずその理由を訪ねることにした。
阿鸞の説明を聞いた鴨野は、暗澹たる気持ちになった。
(これからと言うときに、スペイン側から邪魔が入りそうなどとは・・・)
と考えて、少々憂鬱になった。
『気にすることはないですよ!』
話を聞いていた大橋が、口を出した。
宿が提供した、スペイン産ワインを大分飲んだとみえて、少々上機嫌ではある。
『そんなスペインのタコ野郎、拙者が蒲鉾にしてやりますよ。!』
いとも簡単に、そのようなことを言う。
『いやいや、兄貴が出るまでもねえ、おいらが埋めてやりまさあ・・・。』
とろ吉までもが、それに賛同した。
何事に置いても慎重な鴨野は、彼らの発言を頼もしくも思いつつも、窘めながらこう言った。
『いやいや、無理に事を荒立てる必要も御座るまい、ここはひとつ穏便に参りましょう。』
『あっ、それじゃあいい案があるよ!』
同じくワインを飲んで酔っ払っていた弁当が、いきなり口を挟んできた。
『なんだあおめえ、急によお、女の癖に・・・・・』、こう平が不安がってそう言う。
『まあ、あたいの話を聞きなよ、あのマクシーて男、大の美脚好きだってえ話じゃないの、だったらさあ、いざという時ゃあ、あたいのこの自慢の脚を見せつけてやってさあ、あいつの目が釘付けになっている隙に、ふん縛って転がしてやれば良いんでないの?』
弁当が陶酔した顔をしながら、大法螺を喋るのを聞いた大橋は、とてつもない大声で一喝した。
『べらぼう奴、おめえの出る幕じゃねえ、引っ込んで、おととい来やがれえ・・・』
続く・・・
2010-02-07 07:40
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コメント(16)
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弁当さんの、「あたい」って妙に似合う気がしますね~
今日も更新ご苦労様です。継続は力なり!(爆)
by 萬久 (2010-02-07 08:50)
萬久さん
>「あたい」って妙に似合う気がしますね~
両替所で啖呵を切った話を聞き、想像して書きました!(笑)
威勢がいいのですね。
夫のこう平は、異性が良いらしいですが・・・(爆)
>継続は力なり!
いつ止まるのかが、今後の焦点ですぞ!(謎)
by moimoi (2010-02-07 10:16)
じゃんねんながら弁当の脚はマクシー将校の好みではありまへんwww
マクシー将校の好みは、身の丈五尺六寸以上で異様に腰の位置が高く、太ももの間に手のひら2枚の隙間があることですら・・・ご参考までに^^;
まぁ旅の途中の疲れは日本からの先住移民が造った秘境・富士風呂温泉按摩宿でご休憩をどうぞ。。。
by 押車提督 (2010-02-07 11:07)
オスカル提督
>マクシー将校の好みではありまへんwww
流石に部下のことを良くご存知で・・・(笑)
>太ももの間に手のひら2枚の隙間があることですら・・・ご参考までに^^;
ならほど!
これは参考になりますな!(感心感心)
>秘境・富士風呂温泉按摩宿でご休憩をどうぞ。。。
私も、温泉に浸かリとうおます!(爆)
by moimoi (2010-02-07 11:18)
有難い!、旅の疲れに秘境・富士風呂温泉按摩宿のご紹介・・・(ニタリ
つまらない指摘ですがマクシー氏の登場人物欄に表示がござらん・・・(プッ
マクシー氏はオスカル提督とは入魂の間柄と見受けていましたが・・・(謎
by kamono (2010-02-07 11:54)
鴨野さん
>旅の疲れに秘境・富士風呂温泉按摩宿のご紹介・・
こうなると、嫌でも出さねばならないようですね!(笑)
按摩は、誰がやって呉るのでしょうか?
>マクシー氏の登場人物欄に表示がござらん・・・(プッ
ははっ、至急仕りまする!
>入魂の間柄と見受けていましたが・・・(謎
はい、KTVでマガンダの取り合いにならない限りは大丈夫かと・・・(爆)
by moimoi (2010-02-07 12:15)
美脚も好きだけど。
どちらかというと美尻と美乳派です。
オッパイが隠れる位の長い髪が好きです。
石のようなぺぺも嫌いでは無いです。(爆
by あらん (2010-02-07 13:41)
ワロタ!弁当大活躍ですね!
大虎兄さんの最後の台詞も良かったです!
馬をもっと活躍させましょう!きっと皆さんのご迷惑になると思いますからw
by 馬造 (2010-02-07 14:03)
阿鸞さん
>どちらかというと美尻と美乳派です。
>オッパイが隠れる位の長い髪が好きです。
はははは、そうでしたか?
では、そういう女性とお引合せしましょうね!(笑)
でも、原稿料は、高いですぞ!(爆)
by moimoi (2010-02-07 14:05)
馬造さん
>馬をもっと活躍させましょう!
最近禿が薄い、もとい影が薄いなあ!(笑)
確かに、もう少し活躍せにゃならんばい!
うんこれだ!
山賊が仕掛けた罠に嵌って、崖から転落する役!(爆)
by moimoi (2010-02-07 14:08)
マクシー殿のアサワはアラン殿の元彼女なの?
がはっはーー
こうちゃん には申し訳ないですが、弁当さんの脚ではねぇ。(笑
by 神事屋 (2010-02-07 15:27)
えええっ・・・・。
両替所の事もご存じで・・。
弁当の脚は美脚では御座いません(爆)
マクシーさんは見向きもしない事でしょう(>_<)
by こう平 (2010-02-07 16:33)
神事屋さん
>マクシー殿のアサワはアラン殿の元彼女なの?
あららら、良く読んでいませんねえ・・
違いますよ!
中国に帰されました。
>弁当さんの脚ではねぇ。(笑
今度お会いした時に伝えておきます!(爆)
by moimoi (2010-02-07 16:49)
こう平どん
全てはお見通しです!
・・・て、日記に書いてたでしょう?(笑)
>マクシーさんは見向きもしない事でしょう(>_<)
弁当ちゃんに言いつけてやろうっと!(爆)
by moimoi (2010-02-07 16:52)
やっぱり思っていた通りの展開になりました・・・(プッ
今日で3日目ですね・・・・・・・
今週中に更新はされるのでしょうか?
仕事で多忙中なのでしょうか・・・
はたまた構想中なのか・・・
筆者の弁明をお待ちします・・・(笑
by 昔川名 (2010-02-10 10:47)
鴨野さん
>今日で3日目ですね・・・・・・・
あらら、まだ2日目ですよ!(笑)
仕事が大詰めに来ているのと、日本からのお客のアテンドでてんてこ舞いです。
しかし、1日前の記事にコメを入れるとは、さすがに通ですな!(爆)
by moimoi (2010-02-10 17:53)