幕末ピンパブ物語 呂宋編 第十九回 『獣道(けものみち)』 [フィクション]
弁当の戯言(たわごと)はさて置いといて、話を先に進めることにしよう。
一行は、次の日の早朝から、行動に移さなければならない。
勿論、マクシーの監視は免れないであろう。
上手く巻ければいいのだが、さもないと、黄金のことがバレたら大変な事になる。
本国に通報されでもしたら、オスカル提督は失脚、黄金も没収ということになりかねない。
誰にも増して、阿鸞は緊張していた。
次の日の朝も、誰よりも先に起きたぐらいだ。
そうして一行は、朝食を済ますと、安泰幌めがけて出発することにしたのである。
外は、快晴であった。
安泰幌からの吹き下ろしの風が心地よく、素晴らしい旅立ちの朝である。
阿鸞を先頭に鴨野隊長は、大橋、良庵、萬久、とろ吉、馬造、松五郎、こう平に弁当を従えて、いざ出立せんと、大号令を掛けた。
一行は意気揚々として出発したが、小一時間も経たない内に、難関にぶち当たった。
道を探そうにも、何と道が無いのであった。
途中で、途切れてしまっているのだ。
阿鸞は、『恐らく山賊が道を巧妙に隠してしまったのでしょう』と言う。
山への侵入者を防ぐために、山賊が道を隠してしまったと言うのだ。
この点から見ても、山賊が追い剥ぎや物取りを生業(なりわい)にしているのではなく、単なる侵入者を防ぐために存在しているとしか思えない。
鴨野は、阿鸞の話を聞いていただけに、そう確信した。
そうなると、推測が成り立つからである。
黄金を持った、山奧屋鶴兵衛を首領とした軍団は、秘境安泰幌に姿を隠した。
彼らは、ただ姿を隠すだけでなく、道路という道路を全て塞ぎ、兵を山中に拡散し、山賊に見せ掛けて、誰も近づけないようにしたに違いない。
要するに、ゲリラ部隊を作ったのであろう。
その後、二百数十年たった今でも、彼らは、山を守り続けていると思われる。
さてこの状態を、どう打開するのか?
取り敢えず、道を探すしかなさそうである。
やみくもに行動すれば、山の中で迷ってしまい、野垂れ死ぬ可能性もある。
『ここは、私にお任せを・・・』
萬久が手を挙げながら、そう言った。
『私は山の中の生まれでして、こういう時に、獣道を探すのは慣れて居ります。』
当然であろう。
萬久こと菩薩は、甲賀の里で生まれ育ったのだ。
道なき道を、狂いなく目的地に行くことなど、朝飯前に過ぎない。
鴨野は、萬久の提案を喜んだが、松五郎は、余計に疑惑を膨らませた。
(やはり、こいつは怪しい・・・)
伊賀の忍である松五郎も、伊賀山中で修行を積んだだけあって、山を登るくらいのことは他易い。
しかし、ここでは何も言わず、黙っていた。
萬久を、監視する為である。
監視されているとも知らない萬久は、何かを見立てていたが、ある方向に向けて手をかざした。
『こちらです。』
いとも簡単に、そう言った萬久である。
『ほほう、では皆の衆、参りましょうかのう。』
『はい!』、鴨野の言葉に、皆はそれに従った。
続く・・・
一行は、次の日の早朝から、行動に移さなければならない。
勿論、マクシーの監視は免れないであろう。
上手く巻ければいいのだが、さもないと、黄金のことがバレたら大変な事になる。
本国に通報されでもしたら、オスカル提督は失脚、黄金も没収ということになりかねない。
誰にも増して、阿鸞は緊張していた。
次の日の朝も、誰よりも先に起きたぐらいだ。
そうして一行は、朝食を済ますと、安泰幌めがけて出発することにしたのである。
外は、快晴であった。
安泰幌からの吹き下ろしの風が心地よく、素晴らしい旅立ちの朝である。
阿鸞を先頭に鴨野隊長は、大橋、良庵、萬久、とろ吉、馬造、松五郎、こう平に弁当を従えて、いざ出立せんと、大号令を掛けた。
一行は意気揚々として出発したが、小一時間も経たない内に、難関にぶち当たった。
道を探そうにも、何と道が無いのであった。
途中で、途切れてしまっているのだ。
阿鸞は、『恐らく山賊が道を巧妙に隠してしまったのでしょう』と言う。
山への侵入者を防ぐために、山賊が道を隠してしまったと言うのだ。
この点から見ても、山賊が追い剥ぎや物取りを生業(なりわい)にしているのではなく、単なる侵入者を防ぐために存在しているとしか思えない。
鴨野は、阿鸞の話を聞いていただけに、そう確信した。
そうなると、推測が成り立つからである。
黄金を持った、山奧屋鶴兵衛を首領とした軍団は、秘境安泰幌に姿を隠した。
彼らは、ただ姿を隠すだけでなく、道路という道路を全て塞ぎ、兵を山中に拡散し、山賊に見せ掛けて、誰も近づけないようにしたに違いない。
要するに、ゲリラ部隊を作ったのであろう。
その後、二百数十年たった今でも、彼らは、山を守り続けていると思われる。
さてこの状態を、どう打開するのか?
取り敢えず、道を探すしかなさそうである。
やみくもに行動すれば、山の中で迷ってしまい、野垂れ死ぬ可能性もある。
『ここは、私にお任せを・・・』
萬久が手を挙げながら、そう言った。
『私は山の中の生まれでして、こういう時に、獣道を探すのは慣れて居ります。』
当然であろう。
萬久こと菩薩は、甲賀の里で生まれ育ったのだ。
道なき道を、狂いなく目的地に行くことなど、朝飯前に過ぎない。
鴨野は、萬久の提案を喜んだが、松五郎は、余計に疑惑を膨らませた。
(やはり、こいつは怪しい・・・)
伊賀の忍である松五郎も、伊賀山中で修行を積んだだけあって、山を登るくらいのことは他易い。
しかし、ここでは何も言わず、黙っていた。
萬久を、監視する為である。
監視されているとも知らない萬久は、何かを見立てていたが、ある方向に向けて手をかざした。
『こちらです。』
いとも簡単に、そう言った萬久である。
『ほほう、では皆の衆、参りましょうかのう。』
『はい!』、鴨野の言葉に、皆はそれに従った。
続く・・・
2010-02-08 05:09
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コメント(26)
トラックバック(0)
う~ん!松さん渋いです!カッコイイですね!!
近い内、松さんと萬久こと菩薩さんの対決が見られそうですね?
明日は荒れるんでしょうか(爆)
by こう平 (2010-02-08 07:27)
あの急勾配を登るは気が遠くなります。
つかぬ事をお聞きしますが、あの一帯は肉食獣など生存してるのですか?
ジャングルですからコブラはいるのでしょうか?・・・(謎
場所は違いますが小野田さんも呂栄国の島で自活してました。
ふと思い出しました・・・
萬久氏の企みは?
私ら一行の身の安全は?
今週も波乱の一週間になりそうですか?
by kamono (2010-02-08 08:23)
こう平どん
>松さん渋いです!カッコイイですね!!
何か大きな誤解をしているような・・・(笑)
>松さんと萬久こと菩薩さんの対決が見られそうですね?
お話にならないかも・・・
>明日は荒れるんでしょうか(爆)
その前に、明日の原稿が書けるのかどうか?(爆)
by moimoi (2010-02-08 08:44)
鴨野さん
>あの急勾配を登るは気が遠くなります。
歩いて上がるには、かなりキツイでしょうね。
>あの一帯は肉食獣など生存してるのですか?
それは、山奥屋さんに聞いてみないと・・・(笑)
>今週も波乱の一週間になりそうですか?
更新が出来るかどうかが焦点ですな!(爆)
by moimoi (2010-02-08 08:46)
ニセ萬久はおいといて、本物を早く救出してくださいよ~(涙
しかし、山奥屋さんはすごい技量をお持ちですね?
あの使いづらい現地人を私兵として訓練したとは・・・
by 萬久 (2010-02-08 11:06)
萬久さん
>本物を早く救出してくださいよ~(涙
う~ん、救出したいのはやまやまなのですが、明日から少し更新が止まりそうなので・・・(苦笑)
再開まで、少しお待ち下され!
by moimoi (2010-02-08 11:34)
松五郎は頭の回転は速く洞察力は長けているのですが。。。
何せ酒と小金にめっぽう弱いのが難点ですなぁ。。。
偽萬久に買収されてしまうかもねw
そろそろロハス伯爵がスペインから到着しますので、おいらはピエールにお迎えに行かなくては^^
by 押車提督 (2010-02-08 11:36)
オスカル提督さん
>ロハス伯爵がスペインから到着しますので
なるほど、伯爵だったのですね!(笑)
>何せ酒と小金にめっぽう弱いのが難点ですなぁ。。。
根気も無いしねえ・・
>偽萬久に買収されてしまうかもねw
言い得て妙ですな!(爆)
by moimoi (2010-02-08 11:46)
甲賀忍者VS伊賀忍者 作者の才の見せ所ですな。
朝食は日本食ですかな?
鴨野殿は確か比国食は苦手とお聞きしましたが?
by 神事屋 (2010-02-08 12:22)
どうなるのか
静観させていただきます
by (´ρ`) (2010-02-08 12:39)
何せ酒と小金にめっぽう弱いのが難点ですなぁ。。。
偽萬久に買収されてしまうかもね
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
間違いないと思います。(笑)
by タイガー大橋 (2010-02-08 16:14)
神事屋さん
>甲賀忍者VS伊賀忍者 作者の才の見せ所ですな。
しまった!
忍者小説を、沢山読んで置くんだった!(笑)
>鴨野殿は確か比国食は苦手とお聞きしましたが?
はい、シナガックとロンガニーサが大好きだそうです!(爆)
by moimoi (2010-02-08 18:27)
とろ吉さん
>静観させていただきます
騒いでいいのよ!(爆)
by moimoi (2010-02-08 18:33)
タイガー大橋さん
>間違いないと思います。(笑)
激しく同意!(爆、爆、爆)
by moimoi (2010-02-08 18:34)
では、現地に行ったら
松五郎殿に酒と小金で買収してみます(笑^^
by 偽(ニセ)萬久こと菩薩 (2010-02-08 22:24)
松五郎には必殺忍法雲隠れという技があるので尋ねる時は空振りに注意しなくてはいけません。
この技を使われると・・・・・・
どうしょうもありませんからね。
本日も忍法雲隠れが出ました!
by タイガー大橋 (2010-02-09 00:31)
菩薩さん
>松五郎殿に酒と小金で買収してみます(笑^^
あくまでも少額ですぞ!
セットアップにご注意を・・・(嘘爆)
by moimoi (2010-02-09 06:25)
タイガー大橋さん
>松五郎には必殺忍法雲隠れという技があるので
誰にも防げないという技ですな!(笑)
>本日も忍法雲隠れが出ました!
で、今日も身代わりの術で、厨房に立ったのですか?(爆)
by moimoi (2010-02-09 06:27)
更新してないじやん!
身代わりするつもりは今日はなかったのだけど
あたまきて飯食って帰ろうと勝手にチヤーハン作ってたらさ・・・・・・・・
客が入ってきて…・・涙
そのままさっきまで働かされましたは(笑)
今日はご飯を2回も炊きました。
腹いせに大糞タレたら
流れないでやんの(笑)
by タイガー大橋 (2010-02-10 04:22)
タイガー大橋さん
>更新してないじやん!
今週いっぱい危ないかも・・・
毎晩、午前様ですは・・・(涙)
>そのままさっきまで働かされましたは
松の雲隠れの術は、今回思い切り長いなあ・・・(笑)
>大糞タレたら流れないでやんの(笑)
想像したら、吐き気と笑い涙が出たぞ!(爆)
by moimoi (2010-02-10 07:13)
毎朝、朝刊を読むような気分で歯を磨きながら読んでるのですが・・・
更新がないと、朝刊がポストに投函忘れされているような感じだすw
あまり飲み過ぎないようにね師匠。。。
by 押車提督 (2010-02-10 11:12)
>誰にも増して、阿鸞は緊張していた。
誰にも増して、阿鸞の下半身はパンパンに緊張していた。(爆
最近、飢えてますねえ~。
ところで、イムスさんやマニラさんのブログに出てくる光師匠、スダレ師匠、
光暴大師匠というのは同一人物なのでしょうか?
by やはり江戸金村が好きな太田の助平 (2010-02-10 15:14)
ほら更新してないとコメント入れる頁さえ間違えました。
年よりは呆けてますから安泰幌登る以前に今朝食べた飯のオカズさえ思い出しません。
作者のお名前さえ忘れてしまいます。
仕事が忙しいのは結構ですが、とにかくお待ちしてます。
渡比できずせめてもの慰めがこのブログですから・・・(ヤレヤレ
by 昔川名 (2010-02-10 17:42)
オスカル提督さん
>更新がないと、朝刊がポストに投函忘れされているような感じだすw
申し訳ないだすなあ・・・(汗
>あまり飲み過ぎないようにね師匠。。。
身体が、酒の粕ですわ!(爆)
by moimoi (2010-02-10 17:55)
阿鸞さん
>最近、飢えてますねえ~。
あれれ、前からだと思うのは私だけ?(爆)
>光暴大師匠というのは同一人物なのでしょうか?
ここはどこ?
私は誰?
う~ん、思い出せない!(爆)
by moimoi (2010-02-10 17:58)
鴨野さん
>作者のお名前さえ忘れてしまいます。
光栄です!(爆)
多分、明日までは怪しいです。
まだ原稿を書く余裕がありません。
もう暫く、お待ち下さいね!
by moimoi (2010-02-10 17:59)